Rengedouji1’s diary

グローバル・サプライチェーンをトレースするため、英字紙を(ひたすら)和訳し、サマリーします!

輸送能力の制約:航空貨物の早期ピーク支援に制限も

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」のほか、本稿全体の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

英ロードスター誌:2026年6月22日付け記事

 

 theloadstar.com

 

 

【記事のポイント】

1.早期のピークシーズン到来と海上輸送の逼迫

(a) 2026年の米国向け小売輸入のピークシーズンは例年よりも早く到来した。

(b) 荷主は「トランプ関税」や「燃料費の高騰」、および「今後の供給網の混乱」を予測して前倒しで出荷を行っている。

(c) この前倒し需要によって、太平洋航路のコンテナ船腹が逼迫している。

→ 以下の要因に伴う、構造的な問題も重なって海上運賃が上昇している状況。

① 本船の航路変更

② 港湾の混雑

③ 減速航行

2.航空貨物への限定的なシフトと深刻な容量不足(キャパシティ制約)

(a) 海上輸送のボトルネック(目詰まり)を回避するため、一部の荷主は米国向け貨物を航空輸送に切り替える動きを見せている。

→「半導体」や「電子部品」などの「高付加価値で緊急性の高い貨物(軽薄短小)」に限定された戦術的な動き。

(b) 一方、「AIサーバー」や「ハイテク産業」からの持続的な需要増加や、燃料不足による「突然のフライト・キャンセル」が発生している。

→ アジア発の航空貨物スペースも急速に不足しつつあり、運賃が高騰している状況。

3.リスク管理を目的としたマルチモーダル戦略と代替ルートの活用

(a) 荷主は単なる輸送スピードの向上ではなく、「重要なサプライチェーンを維持するためのリスク管理」として、航空輸送をマルチ・モーダル戦略(複合輸送オプション)の一部として活用している。

(b) 物流業者(フォワーダー)は、事前のスペース確保に加え、深刻な空港混雑を回避するための「越境トラック輸送」や「中国~欧州間の鉄道(欧州班列)」など代替ルートを提供して対応を支援している。

→ 但し、中東の紛争という「地政学的な不確実性」があるため、ルート選定には慎重なアプローチが求められている。

+++

 

【記事の詳細】

1.2026年の太平洋航路における物流は、「例年よりも早いピークシーズンの到来」と「海上船腹の逼迫」という二重の課題に直面している。

 

2.全米小売業協会(NRF)の分析。

(a)「関税引き上げ」や「燃料価格」の高騰を懸念した小売業者が「フロント・ローディング(前倒し出荷)」を行っている。

(b)  このような動きが6月の輸入量の大幅な増加を招いている。

 

3.海上輸送の混雑を受け、荷主は航空貨物へのシフトを模索している。

(a) 航空路線のキャパシティもまた、「半導体」や「AIサーバー」といったハイテク部門の旺盛な需要により極めてタイトな状況にある。

(b) 航空貨物への転換は、全般的な移行ではなく、「高付加価値品」や「緊急性の高い品目」に限定した「戦術的な選択」に止まっている。

→「キャパシティの制約」「突発的な欠航」「地政学的リスク」が重なり、サプライチェーンの管理はかつてないほど複雑化している。

 

【2026年早期ピークシーズンの現状と要因】

4.早期到来の背景。

(a) フロント・ローディングの進展:8月以降に予想される「関税」や「燃料コスト」の上昇を回避するため、小売業者が在庫確保を早めている。
(b) 輸入量の急増:NRFのレポート「Global Port Tracker」の内容。

→ 2026年6月のコンテナ輸入予測は225万TEUに達し、前年同月比で+14.3%増加した。
(c) 主要港の動向:L.A港では5月に前年比+17%増を記録し、6月には90万TEUを超える荷役が予測されている。

5.2026年ピークシーズンの特性。
→ 従来の持続的なピークとは異なり、2026年のピークシーズンは「圧縮された短期間の急増」という特徴を持つ。
(a) 短期集中型:需要の急増は7月まで続く見込みだが、在庫補充が完了した後は、「インフレ」や「消費者」の不確実性の影響で需要が軟化するとの予測。

(b) 複雑な計画立案:短発的な需要の爆発(short bursts)が発生しており、余裕キャパシティ(buffer capacity)の確保が困難な状況。

 

【海上輸送から航空輸送へのシフトとその限界】

6.海上輸送の「混雑」と「運賃上昇」を受け、一部の荷主は航空輸送を代替手段として検討している。

→ 但し、以下の要因がその障壁となっている。

(a) 選択的なモードシフト
→ DHL Global Forwarding社のアナリストNiki Frank氏は「海上から航空への広範なシフトは見られず、以下の品目に限定された「戦術的な振替」が行われている」としている。
① 半導体および電子部品
② AIサーバーおよびデータセンター関連機器
③ 緊急の補用品

(b) 航空キャパシティの逼迫
→ ハイテク産業の活況により、主要路線のスペースは既に飽和状態となっている。

+++

【供給制約と物流上の障害】

7.キャパシティの制約は、単なる需要の増加だけでなく、構造的および突発的な要因によって悪化している。

 

8.構造的な制約。

(a) 有効キャパシティの減少:「本船の航路変更」「港湾の混雑」「減速航行」により、名目上のフリート船腹量は成長しているものの、実際の稼働船腹は抑制されている。

(b) 地域的な偏り:船社は中国出しの貨物を優先しているため、韓国などの周辺国でも米国向けの「スペース圧力」と「運賃上昇」が発生している。

 

9.突発的な運用リスク

(a) 欠航とバックログ(積み残し):燃料不足による事前の通知なしの欠航が相次いでおり、アジア全域で深刻な積み残し(backlogs)が発生している。

(b) 運賃の乱高下:利用可能なスペースが急速に埋まるため、貨物運賃が「一夜にして上昇する」現象が見られる。

(c) 地政学リスク:中東情勢の不安定化に伴い、利用可能な航路が制限されている。

→ 正常化の目処は立っていない。

 

荷主およびフォワーダーの戦略的対応】

10.厳しい制約下でサプライチェーンを維持するため、物流業者は以下のような多角的なアプローチを採用している。

(a) ブロック・スペース契約 (BSA):大手フォワーダーは、主要キャリアとの事前契約を通じて、繁忙期でも確実にスペースを確保する戦略をとっている。

(b) 代替ルートの活用:

 越境トラック:空港の混雑が激しいマーケットでの陸送による代替オプション。

② 中欧班列 (China-Europe Rail):適合貨物における鉄道輸送の検討。 

 

11.リスク管理の高度化:単なるスピードの追求ではなく「マルチ・モーダル戦略」への移行が進んでいる。

→「リスク分散」と「サービス継続性」を重視。

 

【結論&今後の見通し】

12.2026年の物流マーケットは、「予測困難な需要動向」と「構造的な供給制約」が交差する局面にある。

(a) 一方、早期ピークシーズンは短期間で終了する可能性があるものの、その間の輸送能力不足は「航空」&「海上」の両モードで深刻な状況にあると言える。

(b) 荷主には、単一の輸送手段に依存せず、不確実性を前提とした「柔軟なルーティング」と、「早期のキャパシティ確保」が求められる。

【写真引用元:THE LOADSTAR 2026年6月22日付け記事】

★ 2026年の海上輸送の混雑と「ピークシーズンの前倒し」を受け、多くの荷主が航空輸送(エアカーゴ)への切り替えを検討している模様です。

★ 一方、航空側もハイテク需要の爆発や突発的な減便により深刻なスペース不足(キャパシティ制限)に直面していることを、この記事は伝えています。

★ さらに、今回の記事では、「海上から航空への大規模なシフトを受け止める余力が限定されている」状況をレポートしています。

+++

+++

+++
★ いずれにしろ、「海上」も「航空」もアジア発の輸送能力「船腹」「キャパシティ」が(とにかく)逼迫しています。
★ 2026年の夏は荷主にとって非常に柔軟なリスク管理が求められる局面となっている――、そのように理解致しました。
 
以上

 

 

厄介な問題:港湾の混雑、アジア域内貨物運賃が上昇

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」のほか、本稿全体の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

英ロードスター誌:2026年6月18日付け記事

theloadstar.com

 

【記事のポイント】

1.運賃の急騰(前年比 約50%上昇)

(a) 主要ルート(上海〜東南アジア等)の運賃が激しく上昇している。

① 上海〜東南アジア航路(SCFI): TEU当たり$682ドル

→ 前週比で+5%増比で+50%もの大幅な上昇。

② 上海〜SINGAPORE航路(IACI): FEU当たり$1091ドル

→ 5月末の$922ドルから、僅か2週間で約+18%上昇。

(b) 背景には、以下の状況があると見られる。

① SINGAPOREなどの主要ハブ港における深刻な本船の滞留(港湾混雑)

② 需要地への空コンテナの「回収&再配置」が追いつかない「コンテナ不足」

2.クリスマス商戦の「前倒し出荷」による需給逼迫

(a) 今後のさらなる「物流混乱」や「コスト上昇」を警戒した荷主が、例年よりも早く「クリスマス商戦向け」の部材や半製品の出荷を開始している。

(b) 本来のピークシーズンより早い段階で物量が増加し、需給の逼迫に拍車をかけている状況。

3.地政学的改善の兆しと、船社のネットワーク強化

(a) 米国とイランの和平合意によって、ペルシャ湾で足止めされていた船腹(約30万TEU)の解放や紅海航路の再開に期待が出ている。

(b) 一方、マーケットの正常化には「数ヶ月を要する」見込み。

(c) これに対し、船社側「HMM」や「PAN OCEAN」等は、他社とのスペース相互融通(スロット交換)を進め、「ベトナム〜タイ〜インドネシア航路サービス」などの供給量確保に動いている。

+++

 

【記事の詳細】

1.アジア域内輸送の運賃は、前年比で上昇を続けている。

① 主要港が早期のピークシーズンで混雑している。

② 空コンテナの戻りが遅れている。

 

2.6月12日(金)に発表された上海コンテナ貨物指数(SCFI)。

(a) 上海~東南アジアの運賃は6月5日(金)から+5%上昇。

→ TEU当たり$682ドルとなった。

(b) この数字は前年同期比でも、+50%近い上昇となるものだ。

 

3.ノルウェーの国際物流コンサルXeneta社のPeter Sand主席アナリストは本誌ロードスター紙に対し、次のように語った。

(a) 港の混雑は依然として厄介な問題となっているようだ。

(b) 平均運賃は着実に上昇し続けている。

 

4.英Drewry社のアジア域内コンテナ指数(IACI)。

(a) 6月12日(金)時点の上海~SINGAPOREの運賃は、THCを除いたFEU当たり平均$1,091ドルだった。

(b) 5月29日(金)のFEU当たり$922ドルから上昇している。

www.drewry.co.uk

 

5.Drewry社の分析。

(a) SINGAPOREなどの主要な積み替えハブにおける港湾の利用は依然として極めて重要事項だ。

(b) また、行き場を失った大量のコンテナが船社ネットワークの流れを阻害している。

(c) さらに、空コンテナを南アジアのマーケットに再配置することが制限されている。

(d) 同時に、コスト上昇とサプライチェーンの混乱の可能性に対する懸念によって、荷主による「クリスマス商品の前倒し出荷」が促進されている状況が起きている。

(e) ピークシーズンが早まったことで、アジア全域、とりわけ「中国と東南アジア間で輸送される半製品や部材の量」が増加している。

 

6.米国とイランが、進行中の紛争終結に向けた覚書に署名することで合意した。

(a) これに伴い、船腹量が増加する可能性が懸念されている。

→ ペルシャ湾で立ち往生している「30万TEUを超えるx50隻超の本船が解放される可能性」があるからだ。

(b) また、この和平合意によって、紅海航路を再開する事業者も増える可能性がある。

 

7.Xeneta社のSand主任アナリストの話。

(a) 影響が出るかどうかを語るには、依然として時期尚早だ。

(b) 金曜日(6/19)以降、さらに多くの(ホルムズ海峡での)本船通航が生じれば、非常に良い兆候だ。

→ 但し、「次なる常態」が到来するまでには数ヶ月かかるだろう。

 

8.他方、「HMM」はアジア域内サービスの拡充計画を着実に進めている。

(a) 韓国の旗艦船社「HMM」は、同国の「Pan Ocean」が運航する「ベトナム~タイ・エクスプレス(VTX)サービス」の本船スロットを取得した。

→ タイおよびベトナム向けのサービスを強化する。

(b) 一方、「PAN OCEAN」は「HMM」の「韓国~インドネシア・サービス」の本船スロットを取得。

→ 東南アジアにおけるプレゼンスを拡大する予定だ。

 

9.「ベトナム~タイ・エクスプレス(VTX)サービス」は、1,700TEU~1,900TEU型の本船x3隻が投入された。

(a)「光陽」「釜山」「上海」「HO CHI MINH CITY」「BANGKOK」および「LAEM CHABANG」に寄港する。

(b)  即ち、「HMM」は「ベトナム~タイ・サービス(VTX)」と「中国~ベトナム~タイ・サービス」のほか、ベトナムとタイを結ぶ航路を新たにx3つ持つということだ。

【写真引用元:THE LOADSTAR 2026年6月18日付け記事】

★ 記事では、現行のアジア域内のコンテナ輸送マーケットは、「主要港の混雑」と「空コンテナ不足」が重なり、運賃が急騰する厳しい局面を迎えていることを伝えています。

(1)運賃指数の急上昇(2026年6月現在)

★ 足元の運賃は複数の指標で著しい上昇を記録しています。

① 上海〜東南アジア航路(SCFI):TEU当たり$682ドル。

→ 前週比で+5%増、前年同期比では約+50%もの大幅な上昇。

② 上海〜シンガポール航路(IACI):FEU当たり$1091ドル。

→ 5月末の$922ドルから、僅か2週間で約+18%上昇。

 

(2)マーケットの混乱を招いている「3つの要因」

★ 運賃高騰とサプライチェーン停滞の背景には、以下の要素が複雑に絡み合っていると思われます。

① 主要ハブ港(SINGAPORE等)の深刻な混雑:本船の滞留が常態化している。

→ 平均運賃を押し上げる直接的な原因となっている。

② 空コンテナの不均衡(ミスマッチ):大量のコンテナがネットワーク内で目詰まりを起こしている。

→ 需要の高い南アジア地域へ空コンテナを「回収」「再配置」することが困難な状況。

③ 荷主による「クリスマス商戦」の前倒し出荷:さらなる物流混乱やコスト上昇を警戒した荷主が、中国〜東南アジア間で半製品や部材の出荷を例年より早めている。

→ ピークシーズンが前倒しで到来。

 

(3)地政学的変化と今後の見通し

★ 中東情勢の変化が、今後の船腹(スペース)供給量を左右する注目ポイントとなっている模様です。

① 米国・イランの和平合意:両国が紛争終結に向けた覚書に署名。

→ これによって、ペルシャ湾で足止めされていたx50隻超(約30万TEU)の解放や、紅海航路の再開への期待が高まっている。

② 正常化への見通し:但し、専門家(Xeneta社)は「マーケットの正常化『次なる常態』には数ヶ月を要する」と見ている。

→ 即座の状況改善に対して、慎重な姿勢を崩していない。

 

(4)船社の戦略的対応(スペース確保の動き)

★ 記事では、「この需要増と混乱を乗り切るため、船社側は自社船の投入だけでなく『他社とのスロット交換(スペースの相互融通)』によるネットワーク強化に動いている」とレポートされています。

★  「HMM」と「PAN OCEAN」が提携を強化しています。

①「HMM」は「PAN OCEAN」のサービス(VTX)を活用し、ベトナム・タイ向け航路を強化。

②「PAN OCEAN」は「HMM」の航路を活用し、インドネシアへのアクセスを拡大。

→ 対象となる「VTXサービス」は、1,700〜1,900TEU型本船x3隻を用い、「光陽」「釜山」「上海」「HO CHI MINH CITY」「BANGKOK」および「LAEM CHABANG」を結ぶルート。

 

(5)まとめ

★ アジア域内の物流は現在、早期のピークシーズンに突入しており、運賃高騰とスペースタイトな状況は数ヶ月は続く見込みです。

★ 地政学的な好材料(和平合意)はあるものの、即効性は期待しづらいため、引き続き船社の枠組み変更(スロット交換等)を注視しつつ、早めのスペース確保動向を警戒する必要がありそうです。

+++

★ 最後に、「アジア域内貨物運賃に係る高騰の現状」に関する絵図(インフォグラム)&説明スライドを貼付しましたので、ご参考に供します。

+++

アジア域内貨物運賃の高騰現状.png

+++

+++

以上

「安定の窓(チャンス)」が開く:L.A港、輸入品が続々と

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事のポイント」「記事の概要」ならびに「記事の深掘り」に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

米サプライチェーン・ダイブ誌:2026年6月18日付け記事

www.supplychaindive.com

 

◆ 好調な5月ボリュームに続き、L.A港は6月と7月ともに、それぞれ90万個超のコンテナを取り扱うことが予測される。(Gene Seroka事務局長談)

 

【記事のポイント】

1.「安定の窓」を突いた、貨物の強力な前倒し輸送

(a) 荷主企業は、「関税の引き上げ」や「燃料費高騰」「地政学リスク(イラン情勢など)」の先行き不透明感を見据えている。

(b) そのため、サプライチェーンが比較的落ち着いている現在の「安定の窓(一時的な安定期)」を好機と捉えている。

→ 計画を前倒しして貨物の輸送スピードを極限まで加速させている状況。

2.5月実績の大幅増と、夏にかけて続く「歴史的高水準」

(a) この前倒しトレンドによって、5月のコンテナ取扱数は前年同月比+17%(実入り輸入は+26%)と爆発的に増加した。

(b) この勢いは今夏も衰えず、L.A港の予測指標や全米小売業協会(NRF)のデータからも、6月&7月ともに90万TEU超という歴史的な高水準を維持する見込み。

→ 例年より早いピークシーズンを迎える見込み。

3.和平合意後も残る、サプライチェーン正常化へのタイムラグ

(a) 米国とイランの間でホルムズ海峡の再開に関する覚書が合意(6月17日(水))されたことは好材料。

→ 但し、地政学リスクの影は完全には消えていない。

(b) 海運各社が乱れた運航スケジュールを戻し、滞留したバックログ貨物を解消してサプライチェーンを正常化させるには、なお数ヶ月の時間を要すると試算されている。

 

【記事の概要】

1.L.A港のGene Seroka事務局長は6月16日(火)の記者会見で、「海上荷主は現行の「安定の窓」を活かすべく迅速に動いており、状況が許す限りサプライ・チェーンを通じて、貨物の輸送スピードを加速させている」と語った。

portoflosangeles.org

 

2.その6月16日(火)のプレスリリースによると、「本年5月は、L.A港では840,165TEUが処理され、前年同月比で+17%増となった。これは、荷主が貿易政策の不確実性に対して舵取りする中で、取扱量が爆発的に増加したことが要因だ」。

 

3.Seroka事務局長はプレスリリースの中で次のように語った。「5月の好調な実績は、アメリカの消費者の回復力と、企業各社が、絶えず変化する環境に適応していることを反映するものだ」

+++

 

【記事の深掘り】

1.L.A港のSeroka事務局長の話。

(a) 各企業は戦略的な調達ならびに出荷に係る決定を行う際には、「エネルギー・コスト」「関税」「在庫ニーズ」および「地政学的リスク」を計算に入れている。

(b) 同事務局長はプレスリリースの中で、「こうした混乱の渦中で、企業各社はより短い計画領域で事業を行っており、チャンスが出現したタイミングで、それを活かそうとしている」と述べている。

+++

L.A港:5月の数字

■ 840,165

→ 処理コンテナ総数(前年同月比+17%増)

■   449,370

→ 実入り輸入コンテナ数(前年同月比+26%増)

■   107,657

→ 実入り輸出コンテナ数(前年同月比▲10%減)

■   283,138

→ 空コンテナ数(前年同月比+18%増)

+++

 

2.今後の見通しについて、L.A港は「好調な夏」を予測している。

 

3.Seroka事務局長の話。(その2)

(a) L.A港向け輸入貨物を追跡する「港湾最適化指標(Port Optimizer Signal)」は、6月は、L.A港は90万ユニットを超えるコンテナ荷役を予測している。

(b) L.A港は7月に90万TEUを超えるコンテナを取り扱う見込みだ。

→ これは「当港にとって歴史的に見ても好調な数字」と言える。

 

4.昨年は、7月に貨物の前倒し積みがピークを迎えた。

→ 輸入業者が関税引き上げの可能性に先駆ける形で、貨物の輸送を急いだからだ。

 

5.その7月、L.A港は100万TEUを超えるコンテナを荷役している。

 

6.Seroka事務局長の予想と一致する形で「全米小売業協会(NRF)」と「海事コンサルHackett Associates社」が刊行する「グローバル・ポート・トラッカー」も、6月と7月に輸入量が増加すると予測している。

→ ピークシーズンが早く到来することを示唆する内容となっている。

→ 6/15(月)配信「【ご参考情報】海上荷主:貨物を前倒し積み →「関税」「燃料」への懸念に先駆け」

+++

 

7.L.A港のSeroka事務局長の話。(その3)

(a) 7月のTEUは減少すると予測されているものの、90万TEUとなり、この数字を上回ることは本当に良いことだが、昨年とは少し違ったものになるだろう。

(b) インフレ率の上昇はあるが、消費者が支出を続けていることが示されている。

(c) さらに「玩具」「電子機器」「アパレル」「家具」などの小売商品が、引き続き大量に入ってくるだろう。

(d) ビジネス面では、アメリカの工場からの部品やコンポーネントの輸送は、依然として活発に動いている。

 

8.Seroka事務局長によれば、「サプライ・チェーンは、その周囲に見た目の確実性さえあれば、最も効果的に機能する」とのことだ。

 

9.Seroka事務局長の話。(その4)

(a) 一部の輸入業者は陸側(山側)にいることもあって、船舶燃油やディーゼル燃料に関連して、エネルギー価格の上昇によるトータルな影響をまだ感じていない。

(b) L.A港は輸入貨物が「急増してくる」こともあるかも知れない。

→ 年末のホリデーシーズンが近づいてくると、特にその時期に需要が高まる「ファッション」や「子供をテーマにした商品」はそうだ。

(c) そのため、ピークシーズンが早く来たからといって全てが終わったとは思わない。

→ 但し、「人々が地政学とそれがビジネスに及ぼす影響を非常に意識している」ことはハッキリしている。

 

10.L.A港のSeroka事務局長は今年4月、イラン戦争を「『懸念事項』だが、海上荷主にとっては心配事ではない」と述べていた。

→ しかし、この紛争は依然としてマーケットに暗い影を落としている。

 

11.AP通信の報道。

→ 米国とイランはホルムズ海峡の再開に関する覚書に合意した。

apnews.com

 

12.そのSeroka事務局長の話。(その5)

→ 海運各社が運航スケジュールを正常化し、滞留貨物(バックログ)を解消し、サプライ・チェーンを『ある程度(見た目で)正常な状態に戻す』には数ヶ月かかるだろう」と述べている。

→ 6/16(火)配信「【ご参考情報】米国vs.イラン和平合意:ホルムズ海峡が再開」

【写真引用元:SUPPLYCHAINDIVE 2026年6月18日付け記事】
・L.A港の「Pier 400」に停泊するコンテナ船。
・L.A港は5月に840,165TEUのコンテナを荷役し、前年同月比で+17%増となった。
・写真提供:L.A港

 

★ この記事は、先ずは海上荷主が「関税引き上げ」「燃料費高騰」「地政学的リスク」を見据え、現行の「安定の窓(一時的な落ち着き)」を活かした貨物の前倒し輸送(早期ピークシーズン入り)を急いでいることをレポートしています。

★ これによって、L.A.港のコンテナ取扱量は爆発的な増加傾向にあることもレポートされています。

 

(1)2026年5月の実績(前年同月比)

★ 5月は米国の「消費者の底堅さ」と「企業の迅速な調達戦略」を反映し、大幅なプラスを記録しました。

+++

image.png

+++

(2)6月~7月の今後の見通し
★「港湾最適化指標(Port Optimizer Signal)」および「全米小売業協会(NRF)」の予測によると、今夏も歴史的な高水準が続く見込みとなっています。
① 6月・7月の予測:2ヶ月連続で90万TEU超を予測。
→ 歴史的な好調水準。
② 流入の主軸:「玩具」「電子機器」「アパレル」「家具」などの小売商品、および米国内工場向けの「部品」「コンポーネント」。
③ 後半の動向:早期ピークシーズンを迎えた後も、年末のホリデーシーズン「ファッション」「子供向け商品」に向けた「二段階の急増」の可能性を注視。
 
(3)L.A港を取り巻く外部環境とリスク因子
① エネルギーコストの不確実性:「船舶燃油」や「ディーゼル燃料」の上昇によるトータルな影響は、今後さらに陸側(サプライチェーン下流)へ波及する見込み。
② 中東情勢とホルムズ海峡の再開:米国とイランによる「ホルムズ海峡再開に関する覚書」の合意(6月17日(水))はポジティブな兆候。
→ 但し、海運各社が「運航スケジュールを正常化」させ、「バックログ(滞留貨物)を解消」して「サプライチェーンを正常化」させるには、なお数ヶ月を要する見通し。
 
(4)本レポートのポイント(視座)
★ 企業各社は現在、長期予測が困難なため「短い計画領域」での事業運営を余儀なくされている状況です。
★ 一方、その中で「チャンス(安定の窓)が開いた瞬間に物量を一気に流し込む」という、非常に柔軟で機敏な適応を見せています。
+++
 
★ ところで、この記事に登場するL.A港のSeroka事務局長の発言ですが、会見内容を読みながら感じていたのは、ある種「楽観的な」とも言うべき「余裕のトーン」でした。
★ この発言に見え隠れする「余裕のトーン」を荷主側目線で辿るうちに、正直なところ違和感が拭えなくなったのは事実です。
★ これについて、さらに深掘りしてみました。
+++
★ Seroka事務局長は「消費者は力強く、企業は環境に適応している(楽観)」と発言しています。(記事の概要:3項)
★ ここで注意が必要だと思っています。
★ 同事務局長の言葉の裏にある冷徹な現実を見逃してはいけないと思うからです。
+++
★ 他方、今朝がた、英Drewry社WCIの最新データ(18 Jun)を見た瞬間、非常に驚きました。
★ 何と、上海→L.Aのベース運賃が$5000ドル台を突破して、$5142ドルになっていたからです。
★ 因みに、5月末(28 May)のデータでは$3473ドルでしたので、一気に+$1700ドルも上昇してしまいました。
+++
★ 要すれば、「荷主は、船社からどれだけ高い運賃($5,000ドル超)をふっかけられても、トランプ関税のリスクを避けるために、泣く泣くその高額運賃を支払って(でも)荷物を動かしている」――、このような現実が起きているということです。
★ 荷主がコストを丸呑みして必死に動いているからこそ、L.A港にはコンテナが「続々と」集まり、L.A港湾局はホクホク顔でいられます
★ これこそが、Seroka事務局長の「余裕あるトーン」と、Drewry社の爆上がりする運賃データが同時に存在している構造と見て良いように思われます。
★ マーケットの歪みをリアルに物語る「妙な説得力」の正体だと言える――、そのように理解した次第です。
+++
★ また、Seroka事務局長は「サプライチェーンは効果的に機能している」という趣旨の発言をしています。(記事の深掘り:8項)
★ 一方で、なぜDrewry社の運賃はこれほど跳ね上がっているのか?
★ そのカラクリは、同社WCIのレポート内にある次の一文にあるような気がします。
"According to Drewry's Container Capacity Insight, six blank sailings have been announced on the Transpacific trade route for the next week..." (来週、太平洋航路でx6便の欠航(ブランク・セーリング)が発表されている)
★ 有り体に言えば、船社側は、荷主が「関税前にどうしても運びたい」というパニック心理にあることを見抜いているということです。
★ そこで、敢えて本船を間引く(欠航させる)ことで「スペースの争奪戦」を意図的に演出し、ピークシーズン・サーチャージ(PSS)や運賃改定(FAK)を強引に吞ませる―、このような見立てが成り立つのではないかと。
+++
★ まさに記事のタイトルにある「安定の窓(チャンス)」とは、荷主にとってみれば「コストを犠牲にしてでも荷物を通せる、今だけの狭いチャンス」という意味なのでしょう。
★ 決して「ポジティブなチャンス」ではない――、ここを強調したいと思います。
+++
★ そのSeroka事務局長の「穏やかな言葉(表向きの顔)」と、実務担当者が直面している「冷徹な事実(裏のリアル)」そしてその歪みがもたらすマーケットへの影響を、マトリックス(対比表)にまとめました。ご参考まで
+++
image.png
+++
★ とりわけ実務担当者間で共有すべき結論として、記事のタイトル「安定の窓(チャンス)」とは「物流ネットワークが物理的に麻痺(大混雑)していない、今だけの短いチャンス」という意味に過ぎないということではないかと。
★ その実態は、「船社側が意図的に絞ったスペースを、荷主が超高額な運賃($5,000ドル超)を支払って奪い合っている、コスト度外視のパニック輸送期間」いうことに他なりません。
★ Seroka事務局長のどこか余裕のある楽観トーンは、彼らが「運賃を支払う側」ではなく、「物量に応じて手数料(港湾収入)を得る側」だからです。
★ 私たちはそこのところ(成立構造)を冷静に見極める必要があると思います。
 
以上
 

 

 

 

(後半)トランプ大統領:税関規則を再編成。荷送人は何を知っておくべきか?

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

米サプライチェーン・ダイブ誌:2026年6月16日付け記事

www.supplychaindive.com

◆専門家は、「企業は今回の変更に先立ち、登録輸入者(IOR)に関する取り決めを見直し、サプライチェーンの可視性を深いレベルで確保しておく必要がある」としている。

 

【記事のポイント】

1.「分割・低価格」の抜け穴が完全封鎖へ

(a) 外国籍の登録輸入者(IOR)による「非公式な輸入手続き(簡易手続き)」が全面禁止される。
(b) 低価値の商品を大量に分割輸入して税関の目をかいくぐり、違反時のリスクを低く抑えていた「海外EC業者」や「運送業者のビジネスモデル」は、現行のまま維持することが極めて困難になる。

 

2.罰則の「超厳罰化」と減免措置の全廃

(a) これまで税関の裁量で10%〜25%程度にまで減額交渉が可能だった「違反罰金」に対し、今後は一律で「最低でも査定額の50%」という「恐怖の下限」が設定される。

(b) さらに、繰り返し違反に対する減免措置は完全廃止され、コンプライアンス(法令遵守)を怠った場合のコストは文字通り跳ね上がることになる。

 

3.タイムラインは「90日」と「180日」――、即時の実務見直しが必須

(a) 罰則基準は90日以内(2026年9月上旬)に改訂され、180日以内(2026年11月下旬)には税関(CBP)から「良好な状態」であると認められなければ、米国への輸入活動自体が差し止められる。

(b) 荷主は、委託先物流業者がこの厳しい新基準をクリアできるか今すぐ確認し、川上までの完全なトレーサビリティ(追跡可能性)を確保する必要がある。

+++

 

【記事の詳細】

1.トランプ大統領の命令で、外国の輸入者(IOR)が非公式な輸入手続きを利用することが出来なくなる

(a) その理由の一つは、こうした輸入業者が「低価値の物品に関して著しく大量に輸入している」こと、また「罰金額が輸入品価額に比例するため、規制違反に対する金銭的負担がより少なくて済む」ことにある。

(b) 大統領令は、「外国の輸入業者による非公式な輸入手続きを阻止することで、全ての輸入業者を平等な立場に置くことになる」と述べている。

→「米国が海外の事業当事者に対して貿易法令を執行する際に直面するハードル」を指摘している。

 

2.国際物流&ECフルフィルメント(注文処理)プラットフォームを提供する「Portless社」の創業者兼CEO:Izzy Rosenzweig氏の話。

(a)「米国国外の販売業者」や、「中国を拠点とする運送業者を利用する国内企業」は、今回の大統領に伴う変更によって、現行の輸入活動を維持するのがより困難になる可能性がある。

(b) 越境BIZを行う運送業者の中には、法令遵守に非常に苦労するところもあると思う。

(c) 自分としては、こうした(非公式な輸入)方法を用いている会社や運送業者は、厳しい質問をされることになると思う。
(d) さらに――、企業側としては、この命令の義務が発効した後、委託先の運送業者の計画について、特に登録輸入業者がその地位を維持できるかどうかを含め、その運送業者に問い合わせるべきだ。

 

【罰則の下限金額の引き上げは、法令遵守への圧力を高める】

3.トランプ大統領令の施行を受け、CBP(米国税関・国境警備局)が新たな規制を遵守していないと判断した輸入業者(国内外を問わず)に対しては、より厳しい執行措置(罰則)が発動される可能性がある。

 

4.全ての輸入者(IOR)は、大統領令の公布から180日以内に、CBP(米国税関・国境警備局)との間で「良好な状態」を維持することが義務付けられる。

(a) この「良好な状態」とは、「輸入業者の法令遵守履歴」「必要な関税債務の支払い状況」および「その他の留意事項」に基づいて判断される。

(b) フェンタニルのような違法薬物を不正に輸入したことが判明した輸入者(IOR)など、「良好な状態ではない」と判断された者は、米国への輸入または関連する活動を行うことが認められない

 

5.また、この大統領では、 CBP(米国税関・国境警備局)に対し、国家安全保障に重大な影響を及ぼす事情がない限り以下の項目も求めている。

① 法令違反の輸入業者に対する罰金の最低金額を、少なくとも50%に設定すること。

② 繰り返し違反を行う事業者に対する減免措置を廃止すること。

(a) まずもって「課徴金の減額を求めて異議申し立てを行う企業にとって厳しい内容」となっている。

(b)一方、 国土安全保障省(DHS)長官は、この命令の公示日から90日以内に、この義務を裏付けるための基準を改訂する予定だ。

 

【コンプライアンスへの投資対効果(ROI)が倍増した】

André Cruz

KPMG US社「貿易&税関部門」シニアMGR

 

6.Diaz貿易法事務所の話。

(a) 現行規制では、CBP(米国税関・国境警備局)は予定損害賠償請求を「取り消し」または「減額」する広範な決定権を有している。

(b) これによって、多くの場合、査定金額の50%を遥かに下回る軽減効果を生み出している。

(c) また、50%の下限額を設定すれば、罰金免除を求める請願の成否の重要度はより上がることになる。

→ タイムリーで、且つ十分に文書化された請願が「これまで以上に重要になる」。

diaztradelaw.com

 

7.KPMG US社のAndré Cruz貿易&税関部門シニアMGRのLinkedInへの投稿。

(a) 長年にわたりCBP(米国税関・国境警備局)の軽減ガイドラインによって、罰金額を10%または25%にまで引き下げる交渉が行われてきた。

(b) 罰金額の下限が引き上げられたため、法令違反のコストは、より高額なものになった。

www.linkedin.com

 

8.CruzシニアMGRは、「もし前四半期にコンプライアンス予算が却下されたのなら、この(大統領令)をCFOに提出して下さい」と語った。

→ コンプライアンスへの投資対効果は、ちょうど2倍になった訳です。

 

9.この大統領令はまた、「国土安全保障省(DHS)長官に対し、輸入に関する高度化された情報開示要件を確立する」ようにも求めている。

(a) その中には「輸入商品のサプライチェーン」や「製造方法」に関する情報提供が含まれている。

(b) 大統領令は、次のように明記している。

→ 国土安全保障省(DHS)長官は、これらの高度化された要件を遵守しない場合、適用される全ての刑事罰金および民事制裁金を執行する。

 

10.人工知能を実装した貿易プラットフォームを提供するAltana社の政策責任者:Scott Friedman氏の話。

(a) 一部の海外販売業者は、規制負担の増加を回避するため、米国以外のマーケットに注力先をシフトする可能性もある。

(b) 但し、他の国々もサプライチェーン規制を強化している。

→ 荷主はサプライヤーの構成比率を把握し、様々なマーケット向けに監査可能な情報を提供できるよう準備する必要がある。

(c) 完全なトレーサビリティが、今や必須条件となっているという、この考えに照らせば、これはほんの些細な一歩に過ぎない。

→ このことは、いずれ、やらなければならないことなのだ。

【写真引用元:SUPPLYCHAINDIVE 2026年6月16日付け記事】
・米国税関・国境警備局(CBP)の検査に先立ち、花の入った箱を倉庫に運び込んでいる作業員。
・ドナルド・トランプ大統領が6月3日(水)に発出した大統領令に基づく命令書が発効すると、外国籍の登録輸入者(IOR)は新たな制限に直面することになる。
・Joe Raedle via Getty Images

 

★ 今回の記事(後半部分)は、昨日配信した「前半部分(大枠のルール変更)」に続き、「具体的な抜け穴の封鎖」&「罰則の超厳罰化」という、実務上最もインパクトの大きい核心に迫る内容となっています。

★ 専門家は、「企業は今回の変更に先立ち、登録輸入者(IOR)に関する取り決めを即座に見直し、サプライチェーンの可視性を極めて深いレベルで確保しておく必要がある」と強く警鐘を鳴らしています。

★ この大統領令に対する対応を間違えると「致命的な結果(米国市場でのレッドカード退場)がもたらされることも予想される」ため、十分な注意が必要です。

 

(1)抜け穴の封鎖:外国籍の「登録輸入者(IOR)」による非公式手続きの禁止

★ 今回の措置により、外国の輸入者(IOR)が「非公式な輸入手続き(Informal Entry)」を利用することが全面的に不可能になります。

① 背景と狙い:

(a) これまでは、海外の事業者が低価値の物品を「著しく大量に」分割輸入する形で、簡易な手続きを悪用するケースが相次いでいる。

(b) また、従来の罰金額は「輸入品の価額」に比例していたため、低価格帯の商品を扱う海外業者にとって、規制違反時の金銭的負担が少なく、事実上の“抜け穴”となっていた。

(c) 大統領令は、「外国の輸入業者による非公式な輸入手続きを阻止することで、全ての輸入業者を平等な立場に置く」と明記。

→ 海外事業者に対する貿易法令執行のハードルを一気に解消する姿勢を示す内容となっている。

② 直撃を受ける事業者:

(a) 国際物流&ECフルフィルメントを提供するPortless社の創業者兼CEO:Izzy Rosenzweig氏は、「『米国国外の販売業者』や、『中国を拠点とする運送業者を利用する国内企業』は、現行の輸入活動を維持するのが極めて困難になる」と指摘。

(b) 同CEOは次のようにアドバイスしている。

・ 越境ビジネスを行う運送業者の中には、コンプライアンス(法令遵守)に非常に苦労するところが出てくる。

・ 今後、こうした方法を用いてきた会社や運送業者は、税関(CBP)から非常に厳しい追及を受けることになるだろう。

・ 荷主企業は委託先の運送業者が今後も「登録輸入者(IOR)」としての地位を維持できるのか、至急計画を問い合わせるべきだ。

 

(2)罰則の超厳罰化:「罰金減免の廃止」と「下限50%設定」

★ 新たな規制を遵守していないと判断された輸入業者に対しては、国内外を問わず、これまでにない苛烈な執行措置(罰則)が下されます。

① 恐怖の「下限50%」ルールと減免廃止:

(a) 貿易法専門のDiaz貿易法事務所のコメント。

・ 現行規制では、米国税関・国境警備局(CBP)は予定損害賠償請求を「取り消し」または「減額」する広範な裁量権を持っている。

・ 長年、罰金額を本来の10%や25%にまで引き下げる交渉(軽減ガイドライン)が行われてきた。

(b) 一方、今回の大統領令は、CBPに対し、以下を求めている。

・ 法令違反の輸入業者に対する罰金の最低金額を、少なくとも50%に設定すること。

・ 繰り返し違反を行う事業者に対する減免措置を完全に廃止すること。

→ これにより、コンプライアンス違反のコストは文字通り跳ね上がることになる。

② タイムライン:国土安全保障省(DHS)長官は、本命令の公示日から90日以内(2026年9月上旬まで)に、この罰則強化を裏付けるための基準を改訂する予定。

 

(3)「投資対効果(ROI)は2倍になった」——、求められる完全なトレーサビリティ

★ KPMG US社の André Cruz 「貿易&税関部門」シニアMGRは、SNS上で以下のように荷主企業へ発信しています。

→「もし前四半期に社内でコンプライアンス予算が却下されたのなら、今すぐこの大統領令をCFO(最高財務責任者)に提出してください。コンプライアンスへの投資対効果(ROI)は、ちょうど2倍になった訳ですから」。

★ 大統領令はDHS長官に対し、輸入商品の「サプライチェーン」や「製造方法」に関する高度な情報開示要件を確立するよう命じており、これらを遵守しない場合はすべての「刑事罰」「民事制裁金」が容赦なく執行されます。

★ AIを活用した貿易プラットフォームを提供するAltana社の政策責任者:Scott Friedman氏は、「一部の海外販売業者は、この規制負担を嫌って米国以外のマーケットへシフトする可能性がある」としつつも、以下のように結んでいます。

・ しかし、他国も同様にサプライチェーン規制を強化している。

 完全なトレーサビリティ(追跡可能性)は、今や必須条件

・ 荷主はサプライヤーの構成比率(川上から川下まで)を完全に把握し、どの市場に対しても監査可能なデータを提供できるよう、今すぐ準備を始めなければならない。

 

(4) まとめ:荷主に突きつけられた「180日の猶予」

★ 全ての輸入者(IOR)は、大統領令の公布から180日以内(2026年11月下旬まで)に、CBPとの間で「良好な状態(Good Standing)」を「維持」「証明」することが義務付けられます。

★ この「良好な状態」は、過去の法令遵守履歴や関税の支払い状況から厳格に判断されます。

★ もし「不適格」とみなされた場合、米国への輸入活動そのものが一切認められなくなります

★ 前段の「ルール変更」が地殻変動だとすれば、この後段の「実務変更」は猶予3か月〜6か月以内に対応しなければ、米国BIZからの即時退場を意味する「レッドカード」になることは必至だと思います。

★ 日本の事業者も、「委託先物流業者の選定」と「サプライチェーンの可視化」を「最優先タスク」として実行する必要があります。

+++

★ この記事(後半)に関連して、「何を、いつまでに、どう変えなければならないのか?」を把握できるよう、実務変更(各論)をマトリックス(表)形式で整理しました。ご参考まで

+++

image.png

+++

★ 上記マトリックスを見るに当たって、以下のスケジュールを最重要デッドラインとして共有して下さい。
(A)【90日以内(2026年9月上旬まで)】:罰則の基準改定
・ DHS長官により、罰金下限50%や減免廃止を裏付ける厳格な新基準が適用される。
・ 実質的な「罰則のカウントダウン」はここから始まると言って良い。
 
(B)【180日以内(2026年11月下旬まで)】:良好な状態(Good Standing)の証明義務
・ 過去のコンプライアンス履歴や関税支払い状況に基づき、CBPから「適格」と認められなければ、米国への輸入活動そのものが一切禁止(米国BIZからの強制退場 ⇒レッドカード)される。
 
(C)共有時のワンポイント・アドバイス
・ 今回の法改正は、単なるペーパーワークの変更ではない。
・ 「サプライチェーンの透明性がない企業、およびグレーな簡易通関に頼っている物流業者は、米国から排除する」という非常に強いメッセージとなるもの。
 
以上

(前半)トランプ大統領:税関規則を再編成。荷送人は何を知っておくべきか?

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

米サプライチェーン・ダイブ誌:2026年6月16日付け記事

www.supplychaindive.com

 

【記事のポイント】

1.非居住者(外国籍)輸入者への取り締まり強化

(a) トランプ政権は、ペーパーカンパニーなどを利用した「法令違反」「罰金逃れ」を防止するため、税関ルールの厳格化に乗り出している。

(b) それに伴い、米国内に拠点を持たない外国籍の輸入者(IOR)に対し、一定水準以上の「米国内資産の維持」や「保証金の積み増し」が義務付けられる。

 

2.提出情報の激増とデュー・デリジェンスの厳格化

(a)「輸入業者」は「所有権」「予想輸入量」「製造方法」といった「詳細情報の提出」を求められる。

(b)「通関業者」に対しても、輸入業者の身元や背景をより厳格に調査する義務(デュー・デリジェンス)が課されることになる。

 

3.180日以内の発効に向けたサプライチェーンの可視化が急務

(a) これらの新規則は大統領令署名から180日以内に発効する。

(b) サプライチェーンの透明性が低い「海外ブランド」や「荷主」は、「通関の遅延」や「罰金引き上げ」などの重大なリスクに直面する可能性大。

→ 迅速な体制の見直しが急務。

+++

 

【記事の詳細】

1.ドナルド・トランプ大統領が6月33日(水)に署名した大統領令。

(a) 米国は外国の輸入業者に対する新たな規制を導入する準備を進める。

(b) 税関規則を遵守しない業者に対する罰金の下限を引き上げる規則を制定する。

www.whitehouse.gov

 

2.専門家は、サプライチェーン・ダイブ誌に対して次のように語った。

(a) この大統領令は、サプライチェーンの可視性が十分でない海外ブランドや荷主(シッパー)らにとって、複雑な問題を引き起こす可能性がある。

(b) 米国税関・国境警備局(CBP)はプレス・リリースの中で「例えば、輸入業者は『所有権』『予想輸入量』『製造方法』の情報を提供しなくてはならず、通関業者は『輸入業者に対するデュー・デリジェンスをより厳格に実施』しなければならない」と述べている。

 

 www.cbp.gov

 

3.CBP貿易局のSusan Thomas執行次官は、プレス・リリースの中で次のように述べている。

(a) この大統領令は、悪質な貿易業者が規則を破ろうとする際、CBPがより的確に検知するのに役立つものだ。

(b) これらは、歳入の保護とサプライチェーンの透明性の向上において大きな前進となるもので、全ての人にとっての公平性を確保し、国家の経済と安全保障を守る上で極めて重要だ。

 

4.越境ECプラットフォーム:FlavorCloud社のCEO兼創設者Rathna Sharad氏の話。

(a) これらのルール変更は、大統領令から180日以内に発効することになっている。

(b) 法令を遵守しない輸入業者が直面するリスクは、さらに高まることになる。

 

5.ここで、この大統領令が、「輸入規則と罰則にどのような大変化をもたらす構えでいるのか?」、そして「荷主側が迫りくる改革に備えるために何をすべきか?」を説明する。

 

【外国籍(非居住者)の輸入者に対する(IOR)取り締まり強化】

6.今回の大統領令の内容について。

(a) 全ての輸入者(IOR:Importer Of Record)は貿易法を遵守するため、『一定水準以上の国内アセット』『保証金』または『その両方』を維持して、貿易法令を守ることを担保する必要がある。

(b) 専門家は「これによって、米国は法令違反があった場合には、外国企業に対してより効果的に制裁を科すことが出来るようになるだろう」としている。

 

7.FlavorCloud社のSharad CEOの話。

(a) 米国ブランドは通常、輸入者(IOR)として行動するか、または、通関業者などの法人に代理の輸入者(IOR)として動いてもらっている。

(b) また、こうした企業は、米国とのつながりがあるため、罰則を科しやすい。

(c) 一方で、外国の輸入者(IOR)の場合は事情が異なる。

(d) いくつかの企業はペーパーカンパニーを利用しているから、法的措置を取るのが難しい。

 

8.今回の大統領令の内容。(その2)

→ 国土安全保障長官による今後の指針として、米国籍の輸入者(IOR)としての資格を得ようと企て、「ペーパーカンパニー」「偽装取引」または「人為的な法人または組織構造」を利用して入国することを防止することを最優先事項とする。

【写真引用元:SUPPLYCHAINDIVE 2026年6月16日付け記事】
・米国税関・国境警備局(CBP)のワッペンが付いたCBP担当官の袖。
・迫り来る税関執行措置の変更は、法令遵守を怠る輸入業者にとって新たな課題をもたらす。
・Drew Angerer via Getty Images

 

★ 実は、この記事には後段があります。

★ 今回、その後段も含めると長すぎてしまうので省略しました。

★ ただ、その後段には荷主(特に越境ECや低価格帯の商品を扱う事業者)にとって極めて致命的かつ重要な実務上の変更点が記載されており、明日改めて「後半」として配信させて頂く所存です。

+++

★ トランプ大統領が2026年6月3日(水)に署名した新たな大統領令は、米国の税関規則を大幅に厳格化し、特に海外の荷主(シッパー)や非居住者の輸入業者(IOR)に対してこれまでにない厳しい条件を突きつけるものとなっています。

★ 発効までの猶予は大統領令署名から180日以内となっており、荷主企業は迅速な状況把握と対策が必要な状況と思われます。

★ ともあれ、この改革がもたらす「大きな変化」と「荷主が今すぐ取るべき対策」への理解が急務ではないかと思います。

 

(1)今回の税関規則「再編成」における3つの大変化

★ 今回の改革の核心は、「不透明な海外事業者の排除」と「コンプライアンス(法令遵守)の徹底」です。

★ 主に以下の3つの点で取り締まりが強化されます。

 

① 外国籍(非居住者)輸入者への「経済的ハードル」の設置

★ これまで米国内に拠点を持たない外国企業は、「違反があった際の『法的な追及』や『罰金の回収』が難しいという抜け穴(ペーパーカンパニーの利用など)」がありました。

★ 今後は、貿易法令を確実に守らせるための「人質」として、一定水準以上の「米国内アセット(資産)の維持」または「保証金(Bond)の積み増し」、あるいは「その両方」が義務付けられます。

 

② 輸入時における提出情報の激増

★ 米国税関・国境警備局(CBP)に対し、これまで以上に詳細なデータ提出が求められます。

★ 具体的には以下の情報の開示が必要になります。

(ⅰ)貨物の所有権(Ownership)

(ⅱ)予想輸入量(Anticipated volume)

(ⅲ)製造方法(Method of production)

 

③ 通関業者(カスタムズ・ブローカー)によるデュー・デリジェンスの厳格化

★ 通関業者は、顧客である輸入業者が怪しい企業(ペーパーカンパニーや偽装取引を行う組織)ではないか?、より厳しく身元や背景を調査(デュー・デリジェンス)することが義務付けられます。

★ これに伴い、審査に通らなければ通関手続き自体を引き受けてもらえなくなるリスクが生じることになります。

+++

(2)荷主(シッパー)が知っておくべきこと(今すぐ備えるべき対策)

★ 180日のカウントダウンはすでに始まっています。

★ 混乱を避けるために、荷主企業は以下のステップで備えを進める必要があります。

 

 ❌  ペーパーカンパニーや不透明な法人構造の排除  

★ 大統領令では、ペーパーカンパニーや人為的な組織構造を使って「米国籍の輸入者」を偽装する行為を徹底的に取り締まることを「最優先事項」に掲げています。

★ 自社のサプライチェーンや輸入スキームにグレーな部分がないか、大至急リーガルチェックを行う必要があります。

 

 🔎  サプライチェーンの「完全な可視化(End-to-End Tracking)」  

★ 「製造方法」や「所有権」のデータ提出が求められるため、原材料の調達から最終製品の製造に至るまでのプロセスを完全に把握しておく必要があります。

★ 専門家が指摘するように、サプライチェーンの可視性が不十分な海外ブランドは、通関の「遅延」や「差し止め」の直撃を受ける可能性が極めて高いと思われます。

 

 💰 コスト増(保証金・資産維持)への資金対策  

★ 非居住者として輸入を続ける場合、米国内での「資産担保」や「追加の保証金」が必要になり、キャッシュフローに影響を与える可能性があります。

★ これに伴うコスト増をあらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。

 

🤝  通関業者とのコミュニケーション強化  

★ 通関業者側の確認作業(デュー・デリジェンス)が増えるため、これまで以上に密な情報共有が必要になると思われます。

★ 求められた書類やデータを迅速に提出できるよう、社内の情報管理体制を整えておくべきだと思います。

+++

(3)まとめ(要点チェック)

★ 今回の措置は、真面目にルールを守っている企業にとっては「不公平な競合(悪質な貿易業者)の排除」につながる前進になるものです。

★ 一方、準備不足の企業にとっては「突然の罰金引き上げ」「通関ストップ」「コスト高騰」を招く巨大なリスクとなる可能性大ではないでしょうか。

★ 180日という猶予期間(2026年末〜2027年頭にかけて発効か?)の間に、自社の通関体制を総点検する必要がありそうです。

 

以上

米国vs.イラン和平合意:ホルムズ海峡が再開

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

米FreightWaves誌:2026年6月15日付け記事

www.freightwaves.com

◆   中東ガルフ海の紛争で海運料金が急騰

 

【記事のポイント】

1.ホルムズ海峡の封鎖解除と和平合意の進展

(a) 米国とイランが紛争終結に合意し、世界の原油供給の20%を担うホルムズ海峡の航行制限が30日以内に解除される。

(b) 6月19日(金)に署名予定の覚書には、以下項目が盛り込まれる見通し。

① イラン原油への制裁停止

② $240億ドルの凍結資産解除

③ 核計画を協議する60日間の猶予

2.深刻な供給不足による「ジョーンズ法」の異例とも言える停止

(a) 今回の紛争による「燃料」や「肥料」の供給不足を解消するため、トランプ大統領は「米国内の海上輸送を自国籍船に限定する保護主義的な法律:ジョーンズ法」を一時的に停止した。

(b) これにより外国籍の本船を使った「ガス」や「肥料」の緊急輸送が行われる。

→ サプライチェーンの破綻を防ぐ措置が取られた。

3.完全正常化までに立ちはだかる「2〜3ヶ月」の壁

(a) ホルムズ海峡が再開しても物流が即座に元通りになる訳ではない。

(b) 正常化には2〜3ヶ月かかると試算されている。

→ 専門家は、以下の要因を想定している。

① 安全な航行のための「数千もの機雷の撤去」

② 世界中で乱れた「空コンテナの回収」

③ 港の開放を待っていた「待機貨物の一斉殺到による目詰まり(ボトルネック)」

+++

 

【記事の詳細】

1.米国とイランは、「戦争を終結させ」、「ペルシャ湾で数千隻の本船を立ち往生させていた重要なホルムズ海峡の航行制限を解除する」合意に達した。

 

2.報道によると、「覚書は6月19日(金)に署名される予定だが、合意条件は公表されていない」。

→ 覚書には、以下の項目が規定されることになるだろう。

① イラン原油に対する制裁措置の停止

② $240億ドル相当のイラン凍結資産の解除

③ 両国がテヘランの核開発計画を含む恒久的な解決策を協議するための60日間の猶予

 

3.米国は「30日以内に、世界の原油供給量の20%が通過するホルムズ海峡の封鎖を解除する」予定だ。

 

4.今回の紛争は「肥料」や「その他の化学品」の船積みも阻害するものだ。

(a) 供給不足への懸念からドナルド・トランプ大統領は「ジョーンズ法(*)」を一時的に停止するまでに至った。

(b) これによって、「外国籍の本船」は、「米国ガルフの生産者」「内陸港」「北東部マーケット」との間で、「ガス」や「肥料」を輸送することが出来るようになった。

(*)米国の「ジョーンズ法」(1920年商船法第27条):米国内の港から港へと貨物を海上輸送する(内航海運:カボタージュ)際のルールを定めた保護主義的な法律。

note.com

 

5.この戦争は、ペルシャ湾の「燃料」&「ガス」生産に影響を与え、ピークシーズンを前に、燃油価格を急上昇させた。

(a) アナリストらは「サプライチェーン全体の供給能力が正常化するまでには、数ヶ月かかるだろう」と述べている。

(b) 同時に、本船の安全な航路を確保するためには、中東ガルフ湾内に敷設された数千もの機雷を除去する必要がある。

 

6.デンマークの海事コンサルVespucci Maritime社のLars Jensen CEOの話。

(a) 危機以前の正常な状態に完全回復するには、2~3ヶ月かかる可能性が高い。

→ 本船の寄港ローテーションを変更する必要があるだけでなく、空コンテナの返送パターンも正常化する必要があるからだ。

(b) さらに、中東ガルフ向けで出荷準備が整った貨物は、港が開放されるまで、数か月間は他の場所で待たされることになるだろう。

→ これは「貨物の急増」+「それに伴うボトルネック問題(目詰まり)」を引き起こす可能性がある。

【写真引用元:FREIGHTWAVES 2026年6月15日付け記事】
・アラビア海で商船を監視する米海軍駆逐艦「マイケル・マーフィー」の甲板士官。
写真:米中央軍

★ 言うまでもなく、このニュースは「国際物流やエネルギー市場にとって極めて大きなインパクトを持つ歴史的な転換点を示すもの」だと思います。

★ 世界的な大動脈「ホルムズ海峡」の再開は、海運業界の混迷を解消する、まさに「希望の光(silver lining)」です。

★ 一方、正常化への道のりにはまだ多くの課題が残されているのが現実——、そのような理解でもおります。

+++

★ さて、記事にある通り、米国とイランは紛争終結に合意し、世界の原油供給の20%が通過するホルムズ海峡の航行制限を解除することで合意しました。

(ⅰ)合意の概要:2026年6月19日(金)に覚書が署名される予定。

→ 以下の項目が含まれる見込み。

① イラン原油への制裁停止

② $240億ドルの凍結資産解除

③ 核開発を巡る恒久対策の協議に向けた60日間の猶予

(ⅱ)物流への影響:紛争による「燃料」や「肥料」の供給不足を受け、米国のトランプ大統領は国内規制である「ジョーンズ法」を一時停止した。

→ 外国籍本船による米国沿岸輸送を容認する事態に発展していた。

(ⅲ)正常化への課題:ホルムズ海峡再開には中東ガルフ湾内の機雷撤去が必要不可欠。

→ 専門家は、以下の要因から、完全な正常化には2〜3ヶ月を要すると試算している。

① 本船のローテーション変更

② 空コンテナの再配置(偏在庫の解消)

③ 待機貨物の殺到によるボトルネック(目詰まり)の発生

+++

★ このニュースの注目ポイントは以下の3つに要約されると思います。

(1)「ジョーンズ法」の一時停止という異例の措置

★ 米国内の港と港の間を結ぶ輸送を「米国船籍」&「米国人クルー」の本船に限定する「ジョーンズ法(カボタージュ規制)」の停止は、米国内で深刻な「燃料」「肥料」不足の危機感があったことを裏付けるものです。

★ 一方、ホルムズ海峡再開によって、この特例措置も段階的に解除に向かうと思われます。

+++

(2)即時回復とはいかない物流の「タイムラグ」

★ ホルムズ海峡の封鎖が解除されても、本船がすぐに元のルートに戻れるわけではない現実だけは、改めて銘記しておく必要がありそうです。

① 安全面:敷設された機雷の掃海作業

② 運用面:世界中に散ってしまった空コンテナの配置バランス(リポジショニング:偏在庫)の修正

③ 港湾の混乱:これまで出荷を待たされていた貨物が一気に動き出すことに伴う、寄港地の混雑(port congestion)

+++

(3)エネルギー市場&海運運賃への影響

★ ピークシーズンを前に急騰していた「燃油価格」や「海運料金(地政学的リスク・プレミアム)」は、この合意報道を受けて短期的には下落基調に転じると予想されています。

★ 但し、サプライチェーンが完全に正常化するまでは、ボラティリティ(価格変動)の激しい状態が続く可能性に注意が必要だと思われます。

+++

★ ところで今回の和平合意を受けて、現行の海運マーケットは、「コスト要因(BAF/EFS)は下落」するものの、「需給要因(前倒し需要+目詰まり)によりベース運賃は急騰」するという歪んだ構造(中身の入れ替え)に突入していくとの認識でおります。

★ 運賃構造が大きく変化しており、端的に言えば 「総額(All-In)は高止まり⇒さらに攻勢へ」という動きが先鋭化してくる予感があります。

・ これまで: [ 基本運賃 ] + [ BAF/EFS(高水準)] = 総額(高値)

・ これから: [ 基本運賃(大幅値上げ)] + [BAF/EFS(下落または撤廃) ] = 総額(高止まり、またはそれ以上)

★ 上記のような構造変化(↑)がイメージされる状況ではないかとの考えです。

+++

★ この極めて複雑なマーケット環境「イラン和平合意による下落要因」+「トランプ関税による急騰要因の衝突」を共有&理解するべく「運賃構造の入れ替え(名目スライド)」と「今後のインパクト」に焦点を当てたマトリックス表を作成しました。ご参考まで

+++

image.png

+++
★ 担当者間で共有すべき「今後の対策マイルストーン」について思いつくのは、おおよそ以下の通りです。
(A)「All-In(総額)での比較」を徹底する
・ 船社やフォワーダーから「和平合意でサーチャージが下がりました!」とアピールされたとしても、ベース運賃(Ocean Freight)やその他の項目が引き上げられていないか、必ず総額で改定前後のコスト比較をする
+++
(B)長期契約(Contract)の「ブッキング拒否(Rolled)」に警戒
・ 船社は高値のスポット貨物を優先したいため、長期契約分のスペースを絞ってくる(引き受けない)可能性があるとの前提に立つ。
・ フォワーダーとの密な連携と、早期のブッキング(通常より1〜2週間前倒し)を必須事項とする。
+++
(C)「7月〜8月の需要の崖」を見極める
・ この前倒しパニック(トランプ関税対応)の波がいつまで続くかをモニターする。
・ Vespucci Maritime社のJensen CEOの言う正常化(2〜3ヶ月後⇒8月〜9月頃)と、駆け込み需要の一巡が重なるタイミングで、運賃が本当に下落トレンドへ向かうかどうかの見極めを行う。
 
以上

 

 

 

海上荷主:貨物を前倒し積み →「関税」「燃料」への懸念に先駆け

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」等に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

+++

 

米サプライチェーン・ダイブ誌:2026年6月12日付け記事

www.supplychaindive.com

◆   C.H. Robinson Worldwide社のMike Shortグローバルフォワーディング担当社長によると、「『関税への懸念』と『コスト上昇』によって、船積みスケジュールの変更が促進されており、ピークシーズンが早期に到来する兆候が見られる」という。

 

【記事のポイント】

1.貨物の「前倒し積み」によるピークシーズンの早期到来

(a) 米国の海上荷主(小売業者など)は、「予想される関税」と「燃料費などのコスト上昇」を回避するため、貨物の出荷を例年より大幅に前倒ししている。

(b) これにより、全米小売業協会(NRF)は6月の輸入量が前年同月比で+14.3%増加すると予測している。

→ 物流の繁忙期(ピークシーズン)が例年よりも早く始まっている。

2.物流現場の混乱とブッキングサイクルの長期化

(a) 前倒しの動きに伴って本船のスペース(ブッキング枠)が逼迫しつつある。

→ かつては2週間だったブッキングの作業サイクルが5週間にまで長期化している。

(b) この影響に伴い、荷主は海上輸送だけでなく、米国内の「内陸輸送ネットワーク」や「配送スケジュール」の計画自体を根本から見直さざるを得ない状況に直面している。

3. 船社による運賃引き上げと秋以降の需要減少予測

(a) コンテナ船各社は、1Qの厳しい決算を挽回するため、欠航便(blank sailing)や追加料金(GRI&PSS)を戦略的に活用して運賃価格の引き上げに成功している。

(b) 一方、この輸入の急増は7月まで続く見込まれている。

→ 秋以降は『インフレ』や「消費者の先行き不透明感」から、輸入量は減少に転じると予測されている。

 

【記事の概要】

1.全米小売業協会(NRF)とHackett Associates社の「Global Port Tracker」によると、海上荷主は、「船積みコストの上昇」と「予想される関税」を緩和するため、貨物の前倒し積みを行っている。

nrf.com

2.6月の輸入量は前年同月比+14.3%増と予想されており、ピークシーズンが早まることを示唆する内容となっている。

→ 全米小売業協会(NRF)のJonathan Goldサプライチェーン&関税政策担当副社長はプレスリリースの中で、「8月に予想される「関税」や「燃料価格」のコスト上昇が、小売業者に商品の早期入荷に繋がっている」と述べている。

 

3.Hackett Associates社の創設者Ben Hackett氏は、「現在の輸入急増は7月まで続く見込みで、ピークは早まるものの、近年の傾向と同じように、急激な増加ではなく、寧ろ徐々に増加するパターンとなるだろう」と語った。

→ 同氏はプレスリリースの中で、「その後は、消費者の先行き不透明感とインフレ率の上昇によって、輸入量は減少する」と予測している。
+++

 

【記事の詳細】

1.マーケットの不確実性の高まりは荷主の懸念に拍車を掛けており、海上輸送パターンに影響を与えている。

(a) イラン戦争によって、ホルムズ海峡を通る世界の石油輸送が混乱する中、燃料費が上昇の一途を辿っている。

(b) 他方、トランプ政権による関税重視の貿易政策は、サプライチェーンの不確実性を高めている状況だ。

 

2.米国の大手3PL:C.H. Robinson Worldwide社のMike Shortグローバルフォワーディング担当社長の電子メール。

(a) 太平洋航路のブッキングは、前倒しの動きを見せている。

→ 荷主側が在庫を早めに市場に出す形で、予想されるコスト上昇を緩和しようとしているからだ。

(b) ピークシーズンが実質的に早く始まっている。

→ 希望する出発便を確保できるブッキング枠が少なくなりつつある。

 

3.例えば「Best Buy社」と「Sportsman’s Warehouse社」は、両社の幹部がそれぞれ、決算説明会で次のように述べている。

→ 関税の影響を軽減するために、一定量の貨物の出荷を前倒しした。

 

4.貨物の船積みスケジュールも変化している。

 

5.C.H. Robinson Worldwide社のShort社長の話。

(a) かつては2週間だったブッキングの作業サイクルが、(今では)5週間に延びている。

(b) このことが、荷主側の計画方法を変えつつある。

→ 海上輸送だけでなく、「荷主側が『内陸輸送ネットワーク』と『配送スケジュール』をどう連携させるかについても」だ。

(c) 当社としては、この状況は6月まで続き、7月には多少軽減されると予想している。

 

6.輸送コストの上昇は、船社側によっても押し上げられている状況だ。

 

7.米経営戦略コンサルAlixPartners社のJames Roeサプライチェーン&オペレーション担当ディレクターは、電子メールで次のように述べた。

→ 厳しかった1Q決算を経て、コンテナ船各社は「欠航便(blank sailing)」や「GRI」&「ピークシーズン・サーチャージ(PSS)」の発表を首尾よく活用する形で、運賃価格の回復と提示に成功した。

 

【写真引用元:SUPPLYCHAINDIVE 2026年6月12日付け記事】
・OAKLAND港の埠頭でトラックに積み込まれる海上コンテナ。
・「全米小売業協会(NRF)」と「米海事コンサルHackett Associates社」が発表した報告書は、「6月の輸入は前年同月比で+14.3%増加する」と予測。
・「荷主側は貨物を早期に搬入しようとして、海上輸送マーケットの課題を軽減している」と述べている。
Justin Sullivan via Getty Images

+++

★ 今回の記事は、現在のグローバル・サプライチェーンが直面している緊迫した状況をリアルタイムに反映した、非常に示唆に富む内容となっています。

★ 荷主(小売業者など)がリスクを回避するために激しく動いている様子が、具体的なデータや企業の動きからよく見えてくる内容ではないかと思います。

+++

(1)2つの主要な「押し上げ要因」:関税と地政学リスク

★ 荷主が貨物を前倒し(フロント・ローディング)している背景には、明確な2つの懸念(コスト上昇のトリガー)があると思われます。

① トランプ政権による関税政策への警戒:早ければ8月(?)に予想される追加関税措置を前に、「Best Buy社」や「Sportsman’s Warehouse社」といった大手小売業者が「関税がかかる前に在庫を確保する」という防衛策に動いている。

② イラン情勢によるエネルギーコストの高騰:ホルムズ海峡の混乱に伴う燃料費(BUNKERオイル代)の上昇は、船社の運行コストに直結する。

→ これがサーチャージ(EFS/EBS)になるため、「荷主に転嫁される前に運んでしまいたい」という心理が働いている模様。

+++

(2)物流現場への具体的な影響と構造変化

★ 記事では、この前倒しの動きは、単に「荷物が早く着く」というだけではなく、海運マーケットの構造そのものを変化させているとレポートしています。

① ピークシーズンの前倒し:通常、クリスマス商戦などに向けた海上輸送の最盛期「ピークシーズン」は「晩夏から秋(8月〜10月頃)」だが、今年は6月〜7月にそれがシフトしている。

→ 6月の輸入量は前年同月比+14.3%の予測

② リードタイムの激変(2週間 → 5週間):ブッキングのサイクルが2週間から5週間に延びているというMike Short社長(C.H. Robinson社)の指摘は深刻と言える。

→ 結果、荷主はこれまで以上に早い段階で出荷計画を確定させる必要があるだけでなく、サプライチェーンの柔軟性が奪われている状況。

③ 内陸輸送との連動性:海上輸送が前倒しになれば、当然、米国内の港湾から先の「鉄道」「トラック」「倉庫」のスケジュールも前倒しで調整する必要がある。

→ サプライチェーン全体のオペレーション難易度(ハードル)が上がっている。

+++

(3) 船社側の巧みな戦略

★ 荷主側が「コストを抑えたい」と躍起になる一方で、船社側は1Qの厳しい業績を挽回すべく、供給量のコントロールに乗り出しています。

★ AlixPartners社のJames Roe取締役が指摘するように、以下の手法を用いながら、船社側は運賃(運賃マーケット)の維持&引き上げに成功しています。

① 欠航便(Blank Sailing):意図的に本船を間引きしてスペースを逼迫させる。

② GRI:基本運賃の一括引き上げ。

③ PSS(ピークシーズン・サーチャージ): ピークシーズン・サーチャージの導入。

★ 結果として、荷主は「トランプ関税」を回避すべく早期出荷に動いたものの、船社側の運賃引き上げ(GRIやPSS)による「輸送コストの上昇」という別のコストを呑まざるを得ない構造になっています。

+++

(4)今後の見通し:秋以降の反動減(ブル・ウィップ(牛追いのムチ)効果)

★ Hackett Associates社のBen Hackettオーナーが予測している通り、この急増は「7月まで」となり、その後(秋口以降)は輸入量が減少に転じる可能性が高いと考えられているようです。

【懸念されるシナリオ】

① 夏の間に在庫を詰め込みすぎる。

② 「インフレ」や「景気の不透明感」から、秋以降に消費者の購買意欲が減退する。

③ 小売業者が再び「過剰在庫」を抱え、秋〜冬の輸送需要が急激に冷え込む(ブル・ウィップ効果の発生)。

+++

★ この記事は、「不確実性(関税・戦争・インフレ)が高まると、サプライチェーンは『Just-in-Time(必要なものを必要な時に)』から『Just-in-Case(万が一に備えて早めに)』へシフトする」という典型例を示す内容でもあると思います。

★  荷主にとっては、早期に動くことで関税は回避できるものの「運賃高騰」や「内陸ロジスティクスの混乱」、更には「秋以降の在庫過剰リスク」という「トレード・オフ(あちらを立てればこちらが立たず)」に直面している極めて難しい局面と言えそうです。

+++

★ ところで、以前ですが、ここで「7月24日から9月末まで、制度上の関税エアポケット(真空地帯)が出来るため、最恵国待遇の品目などについては完全フリーの状況もあり得る…云々」と申し上げました。

→ 6/02(火)配信:「【ご参考情報】「W‘HAI」語る:米国関税、「海上輸送需要を後押し」「運賃を高水準で維持」」

★ 実際、通商政策のタイム・ラインを厳密に追うと、7月24日(金)に「1974年通商法第122条(国際収支上の理由による一律10%の輸入付加税)」が失効し、その後の大きな波となる「強制労働(新疆ウイグル等)対策に紐付く通商法301条に基づく10%〜12.5%の追加関税」の導入予定が10月に控えているため、スケジュール上は8月~9月が一種の「真空地帯(関税のエアポケット)」になるようにも見えます

+++

★ ところが、この記事では8月に予想される追加関税措置を前にして、トランプ政権による関税政策への警戒…」という趣旨のレポートがされています。(記事の概要:2項)

★ なぜ現場の荷主が「8月のコスト上昇」を懸念して6月〜7月に猛烈な前倒し(フロント・ローディング)を行っているのか?

★ これには、その時の予想した前提がさらに大きく動いたことで、「制度上の空白」vs.「物流の物理的なリードタイム」のギャップ、および「トランプ政権特有の流動的な動き」が複合的に影響してきたからではないかと考えています。

+++

★ それで、早速 「8月~9月の真空地帯」という制度上の建前vs.現場の荷主が直面している「物流&コストのリアルな実態」を対比したマトリックス(比較表)を作成しました。ご参考まで

+++

image.png

+++

★ 上記のマトリックスからも分かるように「制度上は8〜9月が関税の空白期間に見えます」が、以下の3つが重なった結果、荷主は8月出しを信用できず、6月出しに全力投球している模様です。

① 物理的な本船のリードタイム(5週間

② トランプ政権が8月に別の一手を打ってくるリスク

③ 船社が8月に「運賃」や「燃油代」を値上げする動き

+++

★ ともあれ、状況は日々変化しておりますので、引き続きモニターしていく所存です。

 

以上