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英ロードスター誌:2026年3月4日付け記事
【記事のポイント】
1.アジア〜欧州間の供給量が約40%急減
(a) 中東情勢に伴う領空封鎖により、アジアと欧州を結ぶ航空貨物の供給能力(キャパシティ)が▲39%減少した。
(b) 世界全体で見ても、わずか数日で全供給量の▲16%〜▲18%が消失。
→ コロナ禍以来の極めて深刻な事態に陥っている。
2. 主要ハブ(DUBAI・DOHA等)の機能停止
(a) 世界の物流の要となる「DUBAI」「DOHA」「ABU DHABI」いった湾岸諸国のハブ空港が、領空制限のため事実上の機能不全に陥っている。
(b) これにより、中東を経由するネットワークに依存していた「南アジア」や「東南アジア」からの物流が遮断されることになった。
→ 深刻な貨物滞留(バックログ)が発生している。
3. 回避ルートによるコスト増と積載制限
(a) 航空会社は中央アジアなどを経由する迂回ルートへの変更を余儀なくされている。
(b) これに伴い、飛行時間が大幅に延長され、燃料消費が増大しただけでなく、燃料を多く積むために貨物の積載可能重量(ペイロード)が削られている状況。
→「コスト」と「効率」の両面で実害が生じている。
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【記事の詳細】
1.中東情勢が悪化する中、主要な中東ガルフの空域およびハブ空港が閉鎖された。
(a) アジア~欧州の主要路線の航空貨物キャパシティは、▲39%も急落した。
(b) そして、運賃の方だが――、上昇トレンドだ。
2.オランダの航空貨物コンサルAevean社の試算。
→ 春節前の代表的なベースラインを基準として用いた場合、「アジア太平洋~中東路線」および「南アジア~欧州路線」における「利用可能貨物トンキロ(ACTK:Available Cargo Ton-Kilometers)」は、空域の封鎖が始まって以降、▲39%も減少してしまった。
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3.この急激なキャパ縮小は、「DOHA」「DUBAI」「ABU DHABI」を含む、世界有数の貨物中継ハブが、突如失われたことを反映するものだ。
→ 空域制限によって、航空各社が「運航停止」または「経路変更」を余儀なくされたことによるものだ。
4.中東ガルフの航空各社の、世界の航空貨物輸送で果たす中心的な役割が、混乱を拡大させている。
(a) そもそもの話として、以下の3社で、世界の航空貨物キャパシティの約13%を占めている。
① カタール航空カーゴ(QR)
② エミレーツ・スカイカーゴ(EK)
③ エティハド航空(EY)
(b) さらに――、彼らのハブ拠点は、東西を結ぶ主要な中継拠点として機能している。
5.米Freightos社の見立て。
(a) 中国~欧州間の航空貨物キャパシティの4分の1程度が、通常は中東経由で運航されている。
→ これらのハブ拠点の突然の喪失が、この中東地域を遥かに超えた形で影響を及ぼしている。
(b) 全体的なキャパシティは急激に低下した。
(c) 一方で、航空各社は自社ネットワークの調整を開始している。
6.Aevean社の分析。
(a) アジア~欧州間の直行便による貨物輸キャパシティは、約+13%~+14%増加している。
(b) 航空各社が中東ガルフでの乗り継ぎを回避し、可能な限り長距離の直行便を運航しているからだ。
7.だが――、直行便だけでは、中東ガルフでの「ハブ・アンド・スポーク型ネットワーク」が提供する接続性を完全には代替することはできない。
→ 利用可能となる輸送力には、大きなギャップが残り続ける状況だ。
8.この影響で特に深刻なのは、西へ向かう貨物輸送だ。
→ 即ち、中東経由のトランジットに大きく依存する「南アジア」および「東南アジア」の輸出だ。
9.Freightos社のレポート。
(a) これらの航路(西回り)を利用する荷主は、既に遅延に直面している。
(b) キャパシティが逼迫する中、代替ルートの確保に奔走している状況だ。
10.Aevean社の分析。
(a) 損失が最も深刻なのは、中東ガルフそのものだ。
(b) 貨物キャパシティは約▲80%も減少している。
① 南アジア:約▲33%減
② レバント(地中海東部およびその島と沿岸諸国):約▲30%減
③ コーカサス地域:同じく約▲30%減
11.マーケット圧力の前兆が表れ始めている。
→ Freightos社Air Indexでは、複数の主要路線における「週次価格の上昇」が確認されている。(以下の通り)
・ 中国~北米:$6.39ドル/kg、+2%上昇
・ 中国~北欧州:$3.49ドル/kg、+7%上昇
・ 北欧州~北米:$2.74ドル/kg、+3%上昇
11.今のところ、上昇幅は緩やかだ。
→ 一方、「輸送キャパの喪失」と「継続的な迂回輸送の増加」が、更なる変動を示唆する材料となっている。
12.航空各社と貨物輸送各社にとっての差し迫った課題。
① 航空機の経路変更
② 輸送不能となった貨物の管理
③ 封鎖空域周辺でのネットワーク再構築
→ 仮にこの混乱が長引けば、世界の航空貨物輸送フローを再構築するプロセスとなる可能性がある。

★ 先般ご紹介した通り、湾岸諸国の領空封鎖に伴い、アジア〜欧州間の航空貨物キャパシティ(供給量)が約▲40%も急減しています。
→ 3/04(水)配信「【ご参考情報】中東紛争:航空貨物はバックログに直面、キャパシティ不足が続く」
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★ この中東情勢の緊迫化に伴う「大規模な領空封鎖」と「主要ハブ空港の機能停止」により、世界の航空物流が深刻な混乱に陥っている状況です。
★ 今般の状況は、コロナ禍以来では、最も急激な航空物流の再編を強いる可能性があると思います。
★ 一方、荷主やフォワーダーは「代替輸送手段の検討」や、「運賃上昇への対応」を迫られている状況です。
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★ ところで、米Freightos社のデータ(週次運賃)は、現在の未曾有の事態においては「嵐の前の静けさ」あるいは「本格的な運賃高騰の前触れ」を示しているに過ぎない――、その可能性が極めて高いと思われます。(記事の詳細:11項)
★ 上記の3/04(水)配信でも述べた通り、これから航空貨物の運賃は「大きく上昇する」ことが予想されます。
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★ 今後の見通しですが、以下の3点を予想できそうです。
(1) アジア~欧州路線の「2階建て」高騰
★ 最も影響を受けること予想されるこの路線では、来週以降、週次で+20%~+30%以上の跳ね上がりが数週間続く可能性があると思われます。
★ 特に、DUBAI等の中継ハブを失ったことによる直行便への需要集中が、運賃をコロナ禍のピークに近い水準まで押し上げるリスク材料になると思います。
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(2) 他路線への波及(パニック買い・機材配置換え)
★ 一見すると関係の薄そうな「中国~北米」や「北欧州~北米」でも、航空会社が収益性の高い(=運賃が高騰している)欧州~アジア路線に機材を振り向けることが見込まれます。
★ 結果、世界的にスペースがタイトになり、連鎖的な上昇が続くのではないでしょうか。
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(3) 「戦争危険割増料金(War Risk Surcharge)」の導入
★ 「運賃」や「燃油代」とは別に、地政学リスクに伴う追加料金が設定される可能性が出てきたと思います。
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★ 端的に言って、現行の「緩やかな上昇」は一時的なものだと思います。
★ 以下の3つの要素が重なる「これからが本番」という認識です。
① 原油高
② キャパシティ欠乏
③ 迂回コスト
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