Rengedouji1’s diary

グローバル・サプライチェーンをトレースするため、英字紙を(ひたすら)和訳し、サマリーします!

「W‘HAI」語る:米国関税、「海上輸送需要を後押し」「運賃を高水準で維持」

★著作権について:本稿は欧米のロジスティクス業界誌(参照先URLは冒頭に記載)を基に作成しています。著作権保護の観点から、記事内容(参考資料を含む)の取り扱い(外部への転載・漏洩など)には十分ご注意賜りますようお願い申し上げます。

★AIの使用について:「記事の詳細」ならびに「記事のポイント」に係る「翻訳」および「要約」の作成補助には、AIを使用しています。

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英ロードスター誌:2026年6月01日付け記事

theloadstar.com

 

【記事のポイント】

1.米国の関税政策に伴う「前倒し出荷」が運賃を高水準に維持

(a) 米国の10%関税失効前の駆け込み需要や、台湾からの自動車部品などへの最大15%の関税措置を見据え、アジアの荷主が前倒し出荷に動いている。

(b) これが輸送需要を支え、コンテナ運賃は10月にかけて高止まりすると予測されている。

2.地政学的紛争による「ピークシーズンの早期到来」と港湾混雑

(a) 米国・イスラエル vs. イランの紛争を背景に、荷主がサプライチェーンの逼迫を懸念。

(b) さらに中東での消費財在庫の枯渇にともなう補充の動きも重なり、例年(7〜10月)より早くピークシーズンが到来している。

(c) 結果として「紅海」「インド」「シンガポール」などの港湾で混雑が発生し、運賃上昇を後押ししている。

3.「ONE」との太平洋航路の新サービス開始と最新業績

(a) 5月18日(月)より、「W’HAI」と「ONE」は太平洋航路サービス「アジア・パシフィック2(AP2)」を共同で開始した。

→「青島」「寧波」と米国西岸「L.A」「OAKLAND」を結ぶ拠点を強化した。

(b) なお、「W’HAI」の2026年1Q業績は、前年同期比で減収減益(売上高▲9%、純利益▲12%)となっている。

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【記事の詳細】

1.Wan Hai Lines(W’HAI)のTommy Hsieh(謝福隆)GM(写真右)の話。

→ 金曜日(5/29)に開催された同社の年次株主総会(AGM:Annual General Meeting)で次のように語った。

(a) 米国関税が、10月にかけて海上貨物運賃の高騰を後押しするだろう。

(b) 米国への輸入品に課された10%一律追加関税が(その失効を前にして)、アジア荷主に前倒し積みをさせる要因となっている。

→ その一律追加関税10%は、来月(7/24(金))失効する。

 

2.台湾の議会となる「行政院」の発表。

(a) 米国が台湾からの「自動車部品」および「木材派生製品」の輸入関税に対して、15%を上限とする可能性が高い。

(b) 加えて、航空機部品に使用される「鉄鋼」「アルミニウム」「銅派生製品」の輸入は、米国通商拡大法第232条に基づき関税が免除される。

www.supplychaindive.com

 

3.「W'HAI」謝GMの話。(その2)

(a) これらの商品は「W’HAI」が船積みする貨物の中にあり、その米国関税が輸送需要を後押しすることになるだろう。

(b) 足元のマーケット状況を考えると、貨物運賃を引き下げるのは容易ではないだろう。

 

4.コンテナ輸送のピークシーズンは、通常7月から10月だが、例年より早く到来している

(a) アジアの荷主が、米国 vs.イラン紛争の渦中にある「本船サプライの逼迫」を懸念している。

(b) そのため、米国や欧州への商品を早めに船積みしているからだ。

 

5.5月18日(木)、「W’HAI」と「ONE」は共同で太平洋航路サービスを開始した。

(a)  台湾の運航会社「W’HAI」は、この航路を「アジア・パシフィック2(AP2)」として売り込んでいる。

(b)「青島」「寧波」「L.A」「OAKLAND」そして「青島」に寄港するこの航路は、6週間で1周するサイクルとなる。

(c) 当初は本船x5隻を投入する。

→ 各サイクルで、寄港地のうちの1つを抜港(skip)する予定。

(d)「ONE」はx3隻を運航し、「W‘HAI」x2隻を投入する予定だ。

→ その「W’HAI」は、4,680TEU型本船「Wan Hai 517」でスタートする。

 

6.「W’HAI」謝GMの話。(その3)

(a) ピークシーズンが早まることに加えて、米国・イスラエル vs. イランの紛争で、中東における消費財の在庫がほぼ枯渇している。

→ このトレンドも、コンテナ輸送を後押しするはずだ。

(b) 5月に在庫補充が始まり、紅海沿岸の一部の港で混雑が発生し、その影響は、「インド」や「シンガポール」の港にも波及している。

→ 運賃上昇の後押しの一助にもなっている。

(c) 当社は「運賃は10月にかけて高止まりする」と予想している。

 

7.2026年1Qでは、W’HAIの売上高は2025年1Qから▲9%減の$10.5億ドル(336.4億台湾ドル)となった。

(a) 純利益は▲12%減の$2.4030億万ドル。

(b) 一方、「1株当たり3.0台湾ドルの配当」が公表された。

【写真引用元:THE LOADSTAR 2026年6月01日付け記事】

★ この記事ですが、記事の書き方がシンプルすぎる嫌いがあり「関税が10%、或いは15%ポッキリ」であるかのような印象を与えかねないと強く感じた次第です。

★ この記事を文字通り読んでいくと、残念ながら「誤読する可能性は高いのでは」と感じています。

★ このレポートの背景にある米国の関税政策は、一般的な関税の仕組みとは少し異なる「特殊な追加措置」があります。

★ そのため、記事の表現だけだと誤解が生じやすいのだと思います。

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★ 一方で、「地政学リスク」と「関税政策」が、現在の海上物流に大きな影響を与えている――、この記事の主題ではないかとの理解です。

★ そこで、この記事のレポート内容を、以下の通り順序立てて整理してみたいと思います。

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(1)記事の前提:東南アジアではなく「米国の輸入関税」

(a) まず前提として、今回の記事で議論されているのは「東南アジア各国の関税」ではなく、「米国がアジア(台湾など)からの輸入品に対して課す関税」の話と認識すべき。

(b) 米国の通常の関税(最恵国待遇:MFN税率)は、工業製品などでは数%程度と低く抑えられていることが多い。

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(2)「10%関税」の正体:通常の基本関税ではなく「一律追加関税」

(a) 記事にある「10%関税」は、通常の基本関税ではないことに注意。

→ これは米国政府が通商政策(政治的な狙いなど)として、全世界からの輸入品に対して一律で上乗せしようとしている「暫定的な一律追加関税」を指している。

(b) 通常の品目別関税とは「別枠」で突発的に発生した強力な上乗せ措置であるため、マーケットがパニックになっていた。

→ これもまた「発効前に早く出荷してしまおう」という駆け込み需要(前倒し出荷)に繋がる要因の一つだった。

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(3)「15%」の正体:まさに合算、ただし「上限(キャップ)」のルール

(a) 台湾からの「自動車部品」などに関する「15%」という数字は、まさに「合算」の仕組みが関係している。

(b)  米国通商拡大法第232条(安全保障に基づく追加関税)が適用されるにあたり、「米国」と「台湾」の間で以下のような特殊な合意がなされている。

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→ つまり、「基本関税などに商品別(232条)の税率を合算する」のだが、「どれだけ合算しても、最終的な合計税率は15%を上限(キャップ)とする」という特殊なルールが適用されていたということ。

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★  これらの背景を踏まえると、物流マーケットがこれほど過敏に反応している理由(追加コストを避けるための必死の前倒し)に対する解像度は、かなり上がってくるのでは?との認識でおります。

★ ところがです――。(笑)

★ 非常に複雑に入り組んでいる「USTR(米国通商代表部)等の発表」「一律10%追加関税を巡る裁判所の動き」、そしてそれが「なぜ海運運賃の高騰(謝GMの発言)に繋がっているのか?」が今一つ不明なのです。

★ ここまで深掘りしないと(特に「裁判所の動き」を含めないと)、この記事のレポートが良く分からないまま終わってしまうと思います。

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★ その「裁判所の動き」ですが 「2026年5月7日(木)、米国国際貿易裁判所(CIT)が、トランプ大統領が発令していた「一律10%の暫定グローバル関税」を違法(無効)とする判決を下した」ことを押さえておく必要があります。

★ まさに、ジグソーパズルの各ピースをはめるような気持ちにさせられる――、これが、この記事の背景にあるとの印象です。

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(4)なぜCIT判決が出たのに、謝GMは「運賃高止まり」「前倒し出荷」と言うのか?

★ ここが一番の疑問点になると思います。

★「裁判所で違法判決が出たなら、10%関税はなくなって前倒し出荷も必要ないのでは?」と思って当然です。

★ 但し、マーケットが依然として大混乱し、前倒し出荷に走っているのには2つの盲点があるからです。

 

(ⅰ)CITの判決は「全員一斉免除」ではなかった…。

(a) CITの判決は、原告(訴訟を起こした州や特定の企業)に対する関税徴収のみを差し止める限定的なもの。

(b) そのため、その他の一般の輸入業者に対しては、依然として一律10%の追加関税が徴収され続けているという「歪な状況」が続いている。

 

(ⅱ)10%一律追加関税の本来の期限(失効)と「次なる関税(通商法301条)」の影

(a) この一律10%追加関税は、もともと7月24日(金)までの暫定措置(失効予定)として導入されたもの。

(b) 記事で謝GMが「来月失効するのを前に、アジア荷主が前倒し積みを実施している(その7/24以降の輸入通関を狙って)」と語っているのはこのため

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★ さらに決定的なのは、トランプ政権がこの7月の失効に合わせて、次は「通商法301条」に基づく、より強力で本格的な関税措置を(10月以降のピークシーズンに向けて)発動しようと「調査」+「準備」を進めている点です。

★ つまり、こうです。

1)一律関税10%+アルファ―の合算関税は、7月24日(金)時点で「+アルファ―」の部分だけになるはずだった

2)一方、例えば台湾出しが上限15%で済むのも束の間、トランプ政権が10月に向けて301条関税を上乗せすることが想定される状況となっている。

3)アジア荷主としては、「今のうちに前倒しで船積みすることが得策」との判断に傾いている。

4)結果、ピークシーズンが既に始まってしまった

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★ まさに「一難去ってまた一難」、あるいは「関税のモグラ叩き」のような状態が、今の異例な早期ピークシーズン(前倒し出荷)を生み出していると言えます。

★ 本件の「複雑なタイムライン」を共有し、且つ、現在の「異例の前倒し出荷(ピークシーズンの早期到来)」のロジックを一目で理解してもらうためにどうするか?

→ 毎度のことながら、マトリックス(一覧表)を作成しました。

★ 「なぜ10%関税がもうすぐ終わる(或いは裁判で違法と言われた)のに急いでいるのか?」「上限15%になるなら待てばいいのでは?」という疑問に、現場担当者の心理を交えて答える構成となっています。

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(5)説明のための「3つのキーワード(トーク・スクリプト)」
(ⅰ)「裁判で違法が出たのに、まだ10%払わされている」という矛盾
(a)  裁判所(CIT)は一律10%を違法としたが、トランプ政権が即座に控訴して粘っている。
→ 一般企業は今もCBPから10%を徴収され続けている。
(b)「裁判で勝ったから安心」とはなっていないのが「現場の焦り」となっている。
→ シンプルな形で「引き算になっていない」
 
(ⅱ)台湾の「15%」は改悪ではなく、むしろ「防波堤」
(a) 「今度15%になる」のではなく、「いくら関税が重なっても、台湾製は最大15%でストップ(キャップ)してくれる」という緩和措置(5/01(月)発効)となるもの。
(b)「自動車部品」や「木材関係」の荷主にとっては、現時点ではプラス材料。
 
(ⅲ)本当に怖いのは10月予定の「通商法301条関税(巨大な足し算)」
(a)  7月24日(金)に一律10%追加関税が切れても、トランプ政権はすでに主要16カ国を対象に「通商法301条(不公正貿易)」の巨額追加関税の準備を進めている。
(b) これが本来のピークシーズン(10月)に直撃する可能性が高いため、荷主側は10月以降は恐ろしくて出荷できない。だから今(5月〜6月)のうちに高くても船を確保して送るんだ」というロジックで動いている。
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★ このように「関税のタイムライン(引き算と足し算)」と「中東情勢による本船不足(混雑)」のダブルパンチが、W’HAIの言う「運賃高止まり」の背景にあると思われます。
★ ご承知の通り、来月7月から10月にかけて予測される海上運賃の値上げに関しては、船社側(サプライサイド)の視点から論じられています。
→ 6/01(月)配信「【ご参考情報】「払った者勝ち」の再来︓荷主「過酷な船積み環境」に直面」
★ 他方、今回の記事は、「トランプ関税」という地政学リスクの視点からレポートされています。
★ 世界経済をけん引する米国輸入の動向から海上マーケットを分析できるという意味では、有意義な材料が提供された――、このような受け止めでおります。
 
以上