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英ロードスター誌:2025年10月1日付け記事
(要旨)
1.中国建造船を運航する船社、そして、中国企業が運航する本船それ自体は言うまでもないが、フランスの海事コンサルAlphaliner社が今週割り出した数値をよく見る必要がある。
→ この数値は、米国港湾寄港料という「非常に現実的な経済的影響」を明確に示すものだ。
2.緩和策を講じない場合について。
(a) 中国船籍の本船を運航する船社は、今月中旬に発効予定の米国通商代表部(USTR)の寄港料制度に基づき、累計で$32億ドルの費用負担に直面するだろう。
(b) この$32億ドルという金額は、H-Lの2023年純利益に相当する額だ。
3.本誌ロードスターが以前レポートした内容。
(a) 中国船社「COSCO」とその子会社「OOCL」は、自社フリートの100%が課徴金の対象となることに伴い、最大の被害者となるだろう。
(b) 両船社は、10月14日(火)からは、年間$15億ドルを超える課徴金に直面する。
4.シンガポールの海事コンサルLinerlytica社は「これが$10億ドルに近いものになる」可能性に言及している。
→ 9/18(木)配信「【ご参考情報】COSCO:数十億ドル規模の負担に直面、米国港湾使用料で」
(a) COSCOは▲$15億ドルの線上にいる可能性があり、OOCLは年間▲$6.54億ドルと見ている。
(b) 一方、他船社も大打撃を受けるだろう」としている。
6.中国企業の所有または運航する本船を使用する場合。
(a) 次の3大被害船社になってしまう可能性がある船社。(以下の通り)
① CMA CGM(2.85億ドル)
② ONE(3.64億ドル)
③ ZIM(4.88億ドル)
(b) 一方、米国港の寄港に中国建造船を使用することから、以下船社は最大の打撃を受けることになるだろう。
① CMA(5030万ドル)
② MSC(7310万ドル)
③ YML(4900万ドル)
7.Alphaliner社がまとめたこの作業は興味深いものだ。
(a) だが、同社が認める通り、これは各船社が緩和策を講じなかった場合に何が起こるかを示した話だ。
(b) ただ、この見通しには、少しばかり雑多な要素が混在しているようだ。
→ それは、一部の船社が「運航サービスの切り替えを進めている動き」があり、寄港料を回避しようとしているからだ。
8.「MAERSK」「MSC」「PREMIERアライアンス各社」は、中国建造船を米国航路から配置転換しようとしている。
→「MSC」は9,411TEU型の本船MSC JEONGMINを、地中海出し米国西岸向けのCalifornia Expressサービスから、段階的に撤退させている。
9.複数の関連する報道。
(a) 中国船社は米国寄港サービスに関して、各アライアンスのパートナー船社に目を向け、中国船籍以外の本船を使用する方向に動いている。
(b) 一方、別の方策として「カナダ」「カリブ海」「中米」の各ハブ港を経由した「本船積替えプロセスを開発する案も検討されている」模様だ。
10.今回の事象において、最大の被害者となるのは、結局のところ、「米国の顧客」と「米国の消費者」なのかも知れない。
→ 彼らは、商品の到着をこれまで以上に長く待たされ、割高な支払いをする可能性が高いことに気が付くことになるだろう。
11.COSCOは、CMA CGMおよびZIMと一緒で、米国港使用料から身を守るためのいかなる措置も、未だ講じていない。
→ 本誌ロードスターが先月レポートしているが、この中国船社COSCOは、当該料金が現実化する前に「北京政府が問題を解決してくれる」と信じているのだ。
→ 9/18(木)配信「【ご参考情報】COSCO:数十億ドル規模の負担に直面、米国港湾使用料で」
12.仮にそのような楽観論が外れた場合でも、「COSCO」と「OOCL」は、「CMA CGM」や「MAERSK」が一緒になって、正式名称「301条に基づく米通商代表部(USTR)手数料」の施行が、補償範囲やコスト計算に「限定的か全く影響しない」と強調している点に留意すべきだ。
13.また、台湾のEMCと韓国のHMMは、いずれも中国建造船を運航していない。
→ 米通商代表部(USTR)手数料の影響を受けないことも注目に値する。

★ 米国通商代表部(USTR)が今月10/14(火)から課徴する「米国港使用料」が、いよいよ目前に迫ってきました。
★ この料金は、言うまでもなく「中国」をターゲットにした料金です。(1項)
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★ この米国港使用料は既報の通り、今のところ「客先に転嫁する船社はいない」という状況になっています。(12項)
★ ですが、業界アナリストたちが予測した金額だけでも、その総額は数十億ドルに上ります。(2項、6項)
★ そのため「本当に大丈夫なのか?」という疑念が生じてもおかしくありません。
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★ 記事では、この寄港料を回避すべく、既に複数の船社がサービス航路の配置替えを含め、様々に動き出していることがレポートされています。(8項、9項)
★ 一方、台湾EMCと韓国HMMは、自社フリートの中に中国建造船がないため、その部分では「被害はない」としています。(13項)
★ 但し、「EMCはOCEANアライアンス」「HMMはPREMIERアライアンス」のメンバー船社ですので、影響を受けないことはあり得ないとの理解です。
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★ この記事では、6項において「被害を受ける船社」を列挙しています。
★ その中で、本来的には「EMC」と「HMM」も、その被害金額をカッコ書きでレポートすべきではないかと。
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★ それと、前回の記事(9/18配信)で「別記事になるのですが、COSCOに対するUSTRの通商法§301に基づく今回の措置(港湾使用料)は『COSCOが中国政府から$1.67億ドルの補助金を受け取ったことに端を発した』というレポートがある」と書いております。
★ この1.67億ドルという「軍資金」を当面の命綱として利用するのではないか?――、そのような見立ても成り立つのではないでしょうか。
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★ 中国船社COSCOが、当該寄港料が現実化する前に「北京政府が問題を解決してくれる」と信じている――、このような「楽観論」は、本当のところどうなのか知りたいところです。(11項、12項)
★ 仮に、これが本当だったとすればですが、米国政府は(恐らくはEUも)「国家が不公正な競争を後押しするべきではない!(やっぱりそうだったか…)」として、更なる対中制裁を発動しそうな予感もしています。
以上